子どもが変わる「考える力」
― 考えることで人は育つ ―
子どもが自ら考え、行動し、そして人として成長していく。
いぶき学院は、そんな“人間的成長”の場でありたい。
第2回 算数が得意な子は「問題をたくさん解いた子」でしょうか?
算数が得意な子は、果たして「たくさん問題を解いてきた子」なのでしょうか。
以前、私が担当していた小5の生徒に、算数の成績がなかなか安定しない子がいました。
できる時とできない時の差が大きく、特に文章題になると途端に不安定になります。
「どうしてこの式になったの?」と尋ねると、返ってきた答えは「適当です」。
まじめで素直な子ですが、算数の学習において「答えを出すこと」ばかりに意識が向き、
問題文をしっかり読む前に、書かれている数字を組み合わせて式を作っていたのです。
授業では「なぜその式になるのか」を説明させるようにしましたが、なかなか変化が見られません。
「問題が難しすぎるのでは」と考え、思い切って小3レベルの問題からやり直すことにしました。
文章がやさしくなることで内容が理解しやすくなり、
「適当に式を作る」習慣をやめ、問題文を読み取り、考えて式を作る練習を重ねていきました。
さらに、一問ごとに「なぜそう考えたのか」を説明させながら進めました。
すると、徐々にその子は「考える算数」ができるようになりました。
やがて中学受験に合格し、入学後は上位の成績を取るまでに成長しました。
この経験から実感したのは、
算数ができるようになるために大切なのは「問題量」ではなく、
問題文を正しく読み取り、考えながら解く力を育てることだということです。
問題に書かれていること──すなわち「わかっていること(仮定)」を整理し、
そこから「何が導けるか」を考える習慣がつけば、
その後に解く問題の数が増えるほど、学力は確実に伸びていきます。
逆に、「とにかく答えを出す」ことだけを目的にしていては、
いくら問題を解いても算数・数学の力はつきません。
学力は、答えを出すことではなく、考える過程の中で育つのです。

