義務教育課程の7、8、9年生(中学生)では、ほとんどの学校で定期試験前に「課題の提出」が求められます。しかもこの課題、提出しないと確実に成績が一段階下がる仕組みになっていることが多いのです。
例えば、試験で80点以上が「4」とされる場合でも、79点しか取れず、かつ課題を提出していなければ評価は「2」になる、といった具合です。逆に、点数が30点しかなくても、課題をきちんと提出すれば「3」がつくこともあります。こうした仕組みである以上、生徒たちが「課題を出さなければまずい」と焦るのも無理はありません。
もちろん、それでも提出しない子もいますが、多くの生徒はとにかく課題を終わらせようと必死になります。そして、ようやく課題を提出し終えると「終わった!」という気持ちになり、あたかも試験勉強まで終わったかのような錯覚に陥ってしまうのです。
ここで私は疑問を感じます。本当に「課題をやること」が「試験勉強」になっているのでしょうか?
多くの子どもたちにとって、課題に取り組む目的は「提出すること」であって、「学力をつけること」ではありません。ただ終わらせればいい、やってあればいい、という姿勢では学力は身につきません。
だからこそ、課題は「提出のためにやる」のではなく、「テストで目標点を取るためにやる」と意識して取り組むべきなのです。そう考えれば、1つ1つの問題に対して丁寧に向き合うようになり、結果的に学力が伸びていきます。「理解して解くこと」「知らなかった知識を取り入れること」、これこそが本来の勉強の姿ではないでしょうか。
とはいえ、課題への取りかかりが遅れてしまうと、締切に追われて「提出すること」そのものが目的になってしまいがちです。本来の学力向上という目的が、時間のプレッシャーによってすり替わってしまうのです。
だからこそ、少なくとも試験の2週間前から課題に着手することをおすすめします。早めに取りかかることで、課題を「学びの手段」として活用し、真に力をつけることができるのです。