2025年06月20日

「勉強=暗記」になっていませんか?

子どもの頃に身についた“学びの癖”は、なかなか簡単には変えられません。
その典型が、「勉強=暗記すること」と勘違いしてしまうことです。

これは子ども自身の問題だけでなく、実は親の関わり方にも原因があります。
親が「つい教えてしまう」「やり方を見せてしまう」。その結果、子どもは「理解する前に覚える」癖がついてしまうのです。

たとえば、
「分数の足し算は分母を通分して足す」
「分数の割り算は、割る数の逆数をかける」
といった“やり方”は知っていても、
「なぜ通分が必要なのか」「なぜ逆数をかけるのか」については分かっていない、ということがよくあります。

平均についても、「全部足して、数で割ること」と答える子がいますが、それは“求め方”であって、“意味”ではありません。

速さの公式「速さ=距離÷時間」も同じです。
この式だけを覚えていても、「速さとは何か」がわかっていなければ、少し問題が複雑になると解けなくなります。
すると「これは国語力の問題だ」と言われたりしますが、実はそうではなく、「意味を理解していない」ことが原因なのです。

こうして、子どもは「算数が苦手」「速さが苦手」と感じるようになってしまいます。
しかし、それは本当に“苦手”なのでしょうか?
多くの場合、意味を理解せずに覚えてしまったことが原因なのです。

最近では、「わからないことは覚えてしまえ」どころか、「わかることもとにかく覚えてしまえ」という風潮さえ感じます。
これは、「目の前の問題に正解すること」や「テストで良い点を取ること」ばかりを重視してしまうことの副作用です。

さらに、勉強がわからない子どもに対して、親や大人がすぐに「やり方」を教えてしまうことも、子どもの思考力を奪う一因です。

見守ることの大切さ
子どもが自分でできるようになるには、ある程度の「時間」と「経験」が必要です。
たとえば、靴をはいたり服を着たりすることも、最初は時間がかかりますが、手を出さずに見守ることで少しずつできるようになります。

「できないとかわいそう」
「失敗するとかわいそう」
そう思って手を出しすぎてしまうと、かえって子どもの自立を妨げてしまうのです。

「かわいい子には旅をさせよ」
「ライオンは我が子を谷に突き落とす」

といった言葉もありますが、私たちが言いたいのは、命がけの厳しさを求めているわけではありません。
むしろ逆です。子どもの将来のために、今少し“手を出さずに見守る”ことの重要性を伝えたいのです。

親がいつも手助けしていては、子どもは「誰かに助けてもらわないと何もできない人間」になってしまいます。
「自分で考えて行動する力」が育たず、指示がないと動けない、判断できない、という状態に陥ってしまうのです。

小さい頃から「自分で考えること」「意味を理解すること」を大切にしてあげてください。
それこそが、本当に“学ぶ”ということなのです。

posted by 鈴木正之 at 00:00| ◆教育の役割 「教育は日本を変える」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする